戦乙女さん

 さきほどまで竜のいた場所には、大きな竜のかわりに、小さな少女がいた。彼女は着地に失敗したようで水の中でこけていた。アルがジャブジャブと水に入り、少女のもとへ行く。
「大丈夫? タマノハ?」
 少女はぴくんとその声に反応し、アルを見た。なぜだかおびえているように見えた。
「どうした? おびえなくてもいいんだよ。――ああ、そうか。俺は一つ、大切なことを忘れていたね。」
 そういうと、アルは伝説の騎士みたいに膝を立てて、かしこまった口調で、こう言った。
「私の名はアルフレッド・アウエル。姫よ、どうか私の元へ来てはくださらぬか。」
 そうして、お姫様に差し出すみたいに、優雅に右手を差し伸べた。

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