――もうすぐ夏休みだ 先生の長〜いあいさつが終われば、 いよいよ待ちに待った夏休み。 夏休みの宿題は、日記をつけること。 さっき、クラス全員にノートが配られた。 そうだ。忘れないうちに名前だけでも書いておこう。 →名前入力 日記なんてすごくめんどうくさいけど、 宿題だから仕方がない。 とりあえず『おばさんにお説教された』と 書かずにすむよう努力しようと思う。 おふさげはほどほどに、そこそこに…。 努力だけは、ね。 先生から配られたものがもうひとつ。 『夏休みのアンケート』。 夏休みの予定や目標を書いて、 帰るまでに提出しなくちゃいけない。 よし、さっさとかたづけちゃおう。 →項目選択 これでバッチリ。 ステキな夏休み計画のできあがり! …ステキな夏休み? 本当にそうかなぁ。 なにも決まってないからこそ、 ワクワクすることだってあると思うんだ。 今年の夏休みは、 いったいなにが起きるかなってさ! *** ジリリリリ 「起立ー! ガタガタ 「礼ー! 「さようなら。 友達とはなすルッソ。 先生「ルッソ・クレメンズ! 残念だがきみの夏休みは少しおあずけだ。 教室を出たら、昇降口ではなく図書室に行きなさい。 ルッソ「どうしてですか、先生。 先生「どうしてだと思う? ルッソ「まったく心当たりがありません、先生。 先生「きみは冬の休暇明けから今日まで、 いったい何回のイタズラと遅刻をしたかわかるかな? ルッソ「わかりません。 先生「そう、わからないほどたくさんだったということだ。 きみは決して悪い生徒ではないが、多少痛い目を見なくては 物事を学習しない傾向がある。
と、いうわけで、日頃の反省をうながすために――――、 今日これから、きみに図書室の片づけを言いつけることにする。 ルッソ「先生、いくらなんでもこれからっていうのはひどいです。 今から夏休みなのに――――。 うなづく友達 先生「きみにはちょうどいいクスリだと先生は考えます。 さ、行きなさい。図書室にランデル先生がいるから。 ルッソ「…。 先生「もし、すっぽかしたり逃げ出したりしたら、 休み中、家まで先生が話をしにいくから、そのつもりで。
ルッソ「…はい、わかりました。 さようなら、先生。いい夏休みを! *** 図書室 ルッソ「あれ? ランデル先生、いないじゃないか。 図書室を動き回る オルゴールを開け、机においてある本に興味を持つ ルッソ「ずいぶん古そうな本だなぁ。 イスに座り、本を開ける ルッソ「なんの本だろう? 挿し絵は剣とか魔法使いとか、そんなのだけど…。 ページをめくる ルッソ「ん…? この本、途中からなんにも書かれてないや。 ページをめくる ルッソ「えっと、最後のページは…。 なになに? 『空白を、埋める、者…、その名を…告げよ』。 空白を埋める、かぁ…。 へへっ、これはもう、書きこむしかないよな。 『空白を埋める者』の名前は…、 ルッソ・クレメンズ! 名前を書き込む ページがめくられ… 本が飛び回り… 異世界へ! |